ばしょうの日常

社会人一年生のひとりごと

「JR」と「私鉄」の違いを”街の構造”という視点から考える

鉄道会社といえばいろいろあるわけだが、大きく2つに分けることができる。

それは「JR」と「私鉄」である。

「JR」は、会社は違えど全国に路線を展開している会社であり、昔の国鉄を引き継いでいる会社である。現在は7社あり、北からJR北海道JR東日本JR東海JR西日本JR四国JR九州、そして貨物列車を取り扱うJR貨物がある。

なんといってもその特徴は「全国に路線網が張られている」ということである。東京〜横浜などのような近距離の都市を結ぶのはもちろんのこと、東京〜大阪や、それよりもっと先の都市を結んでいる。新幹線を所有しているのもJRだ。

私鉄は、簡単にいうとJR以外の路線のことである。区分としては「大手私鉄」とかがあるのだが、今回は割愛する。JRに対して私鉄は、路線としてはあまり長くない。都市と都市を結ぶ役割もあるといえばあるのだが、それよりもJRが通っていない場所や、人がたくさん住んでいる場所などに路線があることが多いと思う。

ちなみに、他にも「第三セクター」という、地方行政が関わっている鉄道もあるのだが、今回は考えないこととする。

 

JRと私鉄の違いは、大きく分けて二つあると個人的には考えている。

一つは、経営方針の違いである。JRは都市間輸送に比較的重点を置いている気がするが、私鉄は地域に根ざした路線を目指して、鉄道事業の他にも宅地建設や街開発などの事業を展開している。東急とかがその典型例で、渋谷や代官山、田園調布といった街は東急が中心となって開発している。

JRは輸送中心、私鉄は路線を通じたまちづくりを積極的に行なっているということだろう。

 

二つ目は、線路の引き方である。「どういうこっちゃ」という人もいると思うが、JRと私鉄の駅や線路を想像しながら聞いてほしい。

線路の引き方は主に三つある。一つ目は「地面に線路をそのまま引く」というやり方である。他の道と同じ高さのところに電車が走っていて、線路を跨ぐためには踏切を渡るか、地下を潜るか上をまたぐ必要がある。地方の鉄道はだいたいこれである。線路を引く方法としては一番安価である。

二つ目は、「高架」とよばれる、地面から高いところに線路を敷くやり方である。電車が道の上を走るようになるので、下道の通行の邪魔にならなくなる。また、高架下の土地を使うこともできる。近年新しくできた鉄道や、高架化事業を進めている鉄道はこの方式を採用していることが多い。

三つ目は、「トンネル」で地下を進む方法である。トンネルには山を貫く目的のものもあるが、今回は割愛する。トンネルの中に鉄道を走らせることで、街の景観を保ったり、騒音問題を解決したりすることができる。また、近年では「開かずの踏切」の解消のために、路線を地下化するはたらきもある。地下化することで、地上の土地の再開発や交通渋滞の解消をすることができるというメリットもある。しかし、地下化の問題点は費用がかかりまくること、そして完成までに時間がかかることである。どこかの路線で「この区間を地下化します!」といっても、完成までに時間がかかっているのはそのためである。

このように、基本的に鉄道は「地面」「高架」「地下」という、3つの選択肢の中から線路を敷くことができる。しかし、JRと私鉄では、線路の敷き方が異なっていることが多いと私は感じている。

JRは、線路を引いた時期が昔であったことや、鉄道事業のために広大な土地を所有しているためことが理由で、比較的「地面」にレールを敷いていることが多いと思う。一方で、私鉄は路線が作られた時期が少し後だったことや途中で路線を新しく伸ばしたりしたことによって新しく路線を敷いていること、町整備のことも考えながら事業を運営しているということが理由だからか、高架や地下の区間がJRよりも多い。

この二つが大きく影響するのが「駅周辺の街構造」である。

JRの場合、県庁所在地にあったりする大きな駅でも地面に線路を敷いていることが多い。また、JRは大きな駅や車庫、貨物列車の停車場がある関係で広大な土地を使っている。高架化や地下化をするのは高価になりすぎるからなのか、地面に建設している例が多く見られる。この影響で起こること、それは「町の分断」である。JRの駅では、駅がまるで壁のような役割をしてしまい、駅の向こう側に行くのが大変になることが多い。

東京駅を例に考えてみる。東京駅は、電車の通る線路は全て高架や地下にあり、改札の通路が一階にあるという構造になっている。ただ、駅が南北に巨大であり、線路も地下に高架に走っているので周りの道路を地下や線路のさらに上に通すわけにもいかない。そのため、丸の内側(西側)から八重洲側(東側)に移動するのはかなり時間がかかる。新宿駅でも、今は東西連絡通路ができて便利になったものの、昔は東西の移動は10分もかかっていた。駅の反対側に行きたい場合、入場券を買って駅を突っ切るか、迂回道を進むしかない。そして多くの場合、車で行く場合には更なる遠回りを強いられる。

JRでは、駅を挟んでまちが大きく異なっているということがよくある。新宿駅の場合、西側は都庁やモード学園といった会社や学校のある落ち着いたエリアとなっているが、東側はショッピング街や歌舞伎町などの夜の街が広がっている。

逆に私鉄は、確かに道路を分断することもあるのだが、JRに比べれば少ないのではないかと思う。渋谷の場合、東急は地下化を選択したことによって路線周辺の道路状況を改善し、さらにその土地を再開発している。小田急も、連続立体交差事業を行なったことで元々地面を走っていたのを高架や地下に移し、車の便をよくし、まちづくりをすることができている。

 

JRと私鉄では、利用する人も、移動する距離も、そして街の作り方も、いろいろ異なっている。駅から少し離れれば、駅を中心としたまちの構造を客観的に見ることもできる。今回考察した「JRと私鉄の違い」も、適用できる町とできない町が存在している。今一度、自分の住む街と鉄道の関係に調べるのも面白いのではないだろうか。