ばしょうの日常

社会人一年生のひとりごと

僕はロボットになった

私は学校では、いつも先生の言うことを聞いていた。

やらなければいけない課題は期限内に終わらせた。

やれと言われたことをちゃんとやった。

先生が「こうした方がいいよ」というのを全て吸収して、その通りにやった。

与えられたレールに沿って、生きてきた。

ちゃんとやったら先生や家族が褒めてくれることがわかったので、先生や家族のために気に入られることをした。

やるなと言われたことはやらなかった。

周りの人が悪いことをしたら怒られていたから、悪いこと、人と違うことをしてはいけないと思った。

 

レールがなくなった途端、僕は何もできなくなった。

大学までは、場所が変われど、一定のレールは存在していた。中学を卒業したら高校に行って、その次は大学に行って、みたいに。

しかし、大学を卒業したら、もう個々が全く別の人生を歩んでいくことになる。一流企業に就職して定年まで働く人もいれば、田舎で農業をする人もいるだろうし、研究者になる人も、はたまたニートになる人もいるだろう。

「この先の人生、どうしますか」と問われた僕は、何も答えられなかった。

誰かが与えてくれたレールを、誰かのために、歩んできた僕には、自分でレールを引く能力は身についていなかった。

 

言われたことをやってきた僕が、言われないことをやることはできなかった。

言われたことをやるスキルだけは伸びていく。

でも、言われないことはできないし、やっていいのかすら分からない。

 

よく、日本の教育は受け身だなんて言われる。教員が情報を一方的にしゃべって、生徒はそれを受け入れていくスタイルが一般的。

教員に媚を売れば評価は上がる。

授業を真面目に受けていれば、大抵の成績は保証される。

だから僕は、やることをやるスキルを上げ、教員の喜ぶことをしていた。自分がどうしたいかはさておいて。

 

社会では、自分の個性を発揮しろだの、挑戦する心が大切だの、新しい物を生み出せだの、学校で身につけるスキルとは異なるモノを要求される。

けれど、そんなものは持っていない。

 

僕はやることをやるだけの人間になってしまった。

個性はない。挑戦もしない。新しいものは生み出さない。

ただ、人から言われたこと、人が喜ぶものをやるだけ。

僕は、ロボットになった。